[ オピニオン ]
(2018/8/6 05:00)
今から20年以上も前の話。欧州に出張した際に現地の喫茶店でミネラルウオーターを飲んだ。そして吹き出してしまった。それは味のない炭酸水だった。喉を潤そうと注文したのに、とても不愉快だった。
その後、欧州では炭酸水がミネラルウオーターとして一般的に飲まれていると知らされた。それでも、なぜ、味も素っ気もない、飲みにくいモノが飲料として流通するのか、不思議で仕方がなかった。日本ではハイボール用のウイスキーの割材としてしか使いようがないし、そのまま飲むなんてあり得ないと当時は思っていた。
ところがである。今やコンビニエンスストアやスーパーマーケットでペットボトル入りの炭酸水が割材ではなく飲料として当たり前のよう棚に並んでいる。それも、さらに喉を通りにくそうな“強”炭酸水が売れ筋というではないか。これを「直(じか)飲み」と称して“ゴクゴク”と飲む。
いつから炭酸水が流行(はや)ったのだろうか。業界の関係者によれば、2009年頃から美容やダイエットに効果があるとメディアで取り上げられ、直飲みという飲用シーンが始まったという。
試しに飲んでみると意外にサッパリと爽快感がある。かつての欧州での苦い思い出が、愉快に思えた。
(2018/8/6 05:00)