[ 政治・経済 ]
(2018/8/10 14:00)
内閣府が10日に発表した4―6月期の国内総生産(GDP、季節調整値)速報によると、物価変動の影響を除いた実質GDPの成長率は、前期(1―3月期)比0.5%増、年率換算で1.9%増だった。2四半期ぶりのプラス成長。個人消費が持ち直し、設備投資が堅調に推移するなど、内需がけん引役になった。外需は輸出の伸びが鈍った。先行きには、保護主義に傾斜したトランプ米政権の通商政策による影響などが懸念されている。
茂木敏充経済財政担当相は同日談話を発表し、4―6月期の実質GDP成長率について、「民需の増加に支えられた成長になっており、景気は緩やかに回復している」との認識を示した。その上で、今後、通商問題の動向が世界経済に与える影響などを懸念として挙げ、「留意する必要がある」とした。
4―6月期の実質GDP成長率は内需が引っ張る形になった。実質GDP成長率に対する寄与度は、内需がプラス0.6%、外需はマイナス0.1%。内需のうち、個人消費は前期比0.7%増と2四半期ぶりにプラス成長になった。
前期に個人消費の足を引っ張った大雪による外出の手控え、野菜価格の高騰の影響が解消。所得環境の改善を背景に、自動車をはじめ、白物家電やエアコンといった家庭用器具などの売り上げが伸びた。冠婚葬祭などのサービスも好調だった。
企業の設備投資は同1.3%増と7四半期連続のプラス成長。掘削機械を中心に生産用機械への投資がけん引した。建設、ソフトウエアの関連も好調だった。内閣府は「いろんな分野で増えている」(幹部)とし、省力化への投資などが増えている模様だ。
住宅投資は同2.7%減と4四半期連続のマイナス成長。一方、輸出は同0.2%増で8四半期連続の増加、輸入は同1.0%増で3四半期連続の増加とともにプラス成長だった。ただ輸入の伸びが輸出を上回り、外需の実質GDPへの寄与度はマイナスになった。
物価変動を反映し生活実感に近い名目GDPの4-6月期成長率は前期比0.4%増、年率換算で1.7%増。2四半期ぶりのプラス成長だった。
先行きについては、激化する米中貿易摩擦の影響が懸念されている。米通商代表部(USTR)が中国の知的財産権侵害に対抗した貿易制裁関税の第2弾を23日に発動すると表明。これに対し、中国政府が即座に同規模の対米報復措置の実施を公表するなど、報復と制裁を繰り返す"貿易戦争"がエスカレートしている。
(2018/8/10 14:00)