[ ICT ]
(2018/8/15 15:30)
中国の規制当局がゲームライセンスの承認を凍結した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。公に話すことが認められていないとして匿名を条件に話した関係者によると、これは政府機関の間での権限見直しを受けた措置。監督当局は一部のゲームにおける暴力やギャンブルについても懸念を示していると関係者の1人が話した。
オンラインとモバイル、コンソール型ゲームが軒並み影響を受けている。ニューズーの調査によると、中国は世界最大のゲーム市場で、売上高は推定379億ドル(約4兆2200億円)。
ゲーム認可取得で遅れが出ていることを公表した企業はあったが、業界全体の凍結はこれまで公になっていなかった。中国で認可プロセスを監督するのは2つの機関。複数の関係者によれば、国家広播電視総局は約4カ月間にわたり認可を出しておらず、文化観光省はゲーム登録手続きを厳格化している。習近平国家主席が権力を固める中、今年の機構改革を経て両機関ではいずれも人事の刷新や責任範囲の変更があった。
社会主義的価値
共産党指導部の入れ替えで、官僚らはリスクを取る、あるいは論争を誘発する恐れがある新たな措置を始めるのに消極的。中国のゲーム業界は中毒や暴力だけでなく、核心となる社会主義的価値の毀損(きそん)に至るまで定期的な監視の対象になっている。
当局が直ちに再開しても認可には通常2、3カ月程度を要するため、中国のテンセント・ホールディングス(騰訊)など企業の7-9月(第3四半期)決算には潜在的な打撃となることを示唆している。
松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「国内市場が飽和状態となる中で、アジア市場、中でも人口が多く、購買力が向上している中国市場は投資家から期待されていた。もし中国市場がふさがると、ゲーム関連企業の成長期待が剥げ落ちかねない」と述べた。
(2018/8/15 15:30)