[ 人物 ]
(2018/8/20 05:00)
「失敗を恐れず」挑戦
「やる価値があるなら、仮に失敗しても取り組みたい」―。JSRの佐藤明子さん(29)が挑むのは、新たな診断・治療技術に寄与する材料の開発だ。2017年に慶応義塾大学と立ち上げた「医学化学イノベーションセンター(JKiC)」の1期生。医療現場の要求に応じて、実験と検証を繰り返す。
医療の最前線と深く関わる
横浜国立大学大学院の機能発現工学専攻で博士前期課程を修了し、2014年、JSRに入社しました。実は主に抗がん剤による併用化学療法の作用機序を解析してきた経験からすると、化学業界という選択は「挑戦しすぎでは」との不安もありました。でもライフサイエンスを戦略事業に据えるJSRは魅力的で、ワクワクしたことを覚えています。
最初は、筑波研究所(茨城県つくば市)で診断薬の材料開発に携わりました。当然、なじみの薄い化学の知識も求められます。上司や先輩に助けてもらいながら、とにかく腕を磨くことに精いっぱいという毎日でした。
元々、新しいことにチャレンジしたい性格です。それだけに、発足を知らされたJKiCに手を挙げずにはいられませんでした。JSRにとっては、大学病院という医療の最前線と深く関わる重要な拠点です。もちろんプレッシャーはありましたが、やってみたいという思いが強く迷いは吹き飛びました。
足元では医療現場のニーズに基づき、細胞と材料の双方に最適な条件を追求・評価しているところです。スタート当初は仮説が通用しないなど苦戦の連続でした。それが今、ようやく仕上げの段階に入りました。できることを一つ一つ重ね、本当に優れたモノを世の中に送り出したいです。
旅行好きで、夫が駐在する中国をよく訪れています。万里の長城が圧巻ですが、街角の市場もオススメ。掘り出し物も多いですよ。(文=堀田創平、写真=森住貴弘)
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◇JSR・慶応義塾大学医学化学イノベーションセンター第四チーム
(2018/8/20 05:00)