[ 政治・経済 ]
(2018/8/31 13:30)
欧州委員会のマルムストローム委員(通商担当)は、米国製工業製品に対する関税撤廃の対象品目に自動車を含める意思が欧州連合(EU)にはあると表明した。発言が伝わると欧州自動車株が買われ、ドイツのBMWは11週間ぶりの高値に上昇した。
ブリュッセルで30日に開かれた欧州議会の委員会会合で、マルムストローム委員は「米国が同様の措置を取るなら、EUは自動車関税をゼロにまで下げることもやぶさかではない」と発言した。工業製品に焦点を絞った米欧貿易交渉で、自動車はこれまで対象外だった。関税の撤廃は「EUにとって経済的な利益にかない、米国にとってもそうだろう。相互に有益だ」と同委員は述べた。
事情に詳しい関係者によると、自動車関税に関する案は遅かれ早かれEUが米国との交渉で提起する方針。EUは工業製品に関する限定的な自由貿易協定を模索する見通しだが、そのような協定の締結が可能になるには自動車が含まれる必要があるだろうと、同関係者は語った。(ブルームバーグ)
トランプ大統領「十分良い条件ではない」
トランプ米大統領は30日、欧州連合(EU)が提示した自動車関税撤廃案について、「十分良いものではない」と述べ、はねつける意向を示した。さらに、「EUは中国と同じくらい悪い。やや小ぶりなだけだ」と語り、EUの貿易慣行に不満を表明した。
大統領執務室でブルームバーグ・ニュースのインタビューに応じたトランプ氏はEUについて、「彼らの消費者の習慣は自分たちの車を買うことであり、われわれの車を買うことではない」と論じた。
EUの行政執行機関、欧州委員会のマルムストローム委員(通商担当)は、トランプ氏のインタビューでの発言に先立つ数時間前に欧州議員らに対し、「米国が同じようにするなら、われわれの全ての自動車関税をゼロにする用意がある」と述べていた。
トランプ大統領は、EUからの輸入乗用車への米関税率が2.5%であるのに対し、EUが米国車に10%の輸入関税を課していることを理由に、自動車・同部品輸入への最大25%の関税賦課の計画を正当化しようとしている。
大統領は先に米商務省に対し、通商拡大法232条に基づいて自動車輸入が国家安全保障への脅威と判断されるかどうか調査を指示。調査結果は来年2月までに取りまとめられる予定だが、大統領はそれより前に行動を起こす決断を下す可能性もある。(ブルームバーグ)
(2018/8/31 13:30)