[ 政治・経済 ]
(2018/10/1 15:00)
日銀が1日発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業経営者の最近の景況感を見る代表的な指標である大企業製造業の業況判断指数(DI)はプラス19と前回6月調査を2ポイント下回り、3期連続で悪化した。3期連続の悪化は、リーマン・ショック前後の2007年12月調査から09年3月調査まで6期連続で悪化して以来、約10年ぶり。
為替の円安を背景に企業収益は好調を維持しているものの、相次ぐ自然災害や原油などの原材料高が企業心理を下押しした。米国と中国の貿易摩擦への懸念も影響したとみられ、先行きに関して、慎重な見方が広がっている。
DIを業種別に見ると、「石油・石炭製品」が原材料高に加え、悪天候で工事資材の需要が後ずれした影響が出て大幅に下落した。災害発生で物流に影響が及んだ「鉄鋼」や「食料品」でも悪化した。このほか、売り上げ不振の「繊維」も大幅減となった。
大企業非製造業のDIはプラス22と、2ポイント下落。16年9月以来、2年ぶりに悪化した。台風などで訪日客が減少。国内で外出を手控える動きも響き、「運輸・郵便」や「宿泊・飲食サービス」で低下した。
3カ月後の見通しを示すDIは、大企業製造業がプラス19と足元から横ばい。災害の影響が一服すると予想される半面、貿易摩擦への懸念から経営者は先行きについて慎重な姿勢に傾いている。
18年度の大企業製造業の想定為替レートは1ドル=107円40銭(前回調査は107円26銭)だった。一方、大企業全産業の18年度の設備投資計画は前年度比13・4%増に小幅下方修正された。
DIは、業況が「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた値。9月調査の回答期間は、8月27日から9月28日まで。
(2018/10/1 15:00)