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【電子版・連載】出張中に遭遇した小さな事件簿 第25話「毎月1日は映画の日 大スクリーンで見て!」

(2018/11/11 07:00)

  • さかい三十郎。彼は重工業メーカーで造船・プラント・工作機械事業に携わって40年の経歴を持つ出張多きサラリーマンである。彼はサムソナイト鞄(かばん)とバインデックス手帳を愛用している。ちなみにサムソナイト鞄は時に、新幹線の車内混雑時にはいすに替わる(イラスト:小島サエキチ)

 彼の名は「さかい三十郎」。正義感にあふれた庶民派である。そんな彼が出張時に出会ったノンフィクションのハプニングを「小さな事件簿」としてつづったのが本連載である。

 「本当にそんなことが起こるの?信じられないなぁ…」との思いで読まれる方も多いかもしれないが、すべてノンフィクション(事実)なのである。彼の大好きな「映画の話」もちりばめてあるので、思い浮かべていただければ幸いである。

 それでは遭遇した事件簿の数々をご紹介させていただく。

* *

 上で紹介されているとおり三十郎は映画が大好きである。2000年6月に完成した小さな注文住宅の家には、大工さんに映画ソフト愛蔵庫を特注で製作願った。現在のコレクション数は2,000本を超えてしまい、階段下空きスペースまで拡張させて保管している。愛蔵するまでには3段階のハードル(ルール)を決めているが、要は“何度でも繰り返して見る、年代を超え愛され続けている”ことが条件だ。

 1980年4月、VHSビデオ機を購入し当初は黒澤明監督作品のみにしようとしていたが、1930~50年代のハリウッド・クラシック映画にはまり、チャップリン、キートン、ロイドのサイレント映画に感動し、あっという間に100本を超えた。365本で区切りをつけようとしたが気付けば1,000本を過ぎ2,000本も通過した次第。何としても3,000本で止めようとしているが、その後も次から次へと名作に出会い止まらなさそうだ。妻からは迷惑がられており、天国へ向かった後は市へ寄贈するよう遺言するつもりだ。

 三十郎が推薦する名画100本は別の機会に紹介させていただくとして、今回は“大スクリーン”で見たい名画を愛蔵コレクションの中から7本紹介させていただく。ぜひご鑑賞いただきたい。

①「つばさ(1927年、米、ウィリアム・ウェルマン監督)」

 第1回アカデミー賞受賞作品。航空熱旺盛なる当時に製作された空中戦映画で、米国防衛省の後援を得てパラマウント社が完成させた。ニューヨークでの公開時には飛行戦闘シーンになると通常スクリーン+仮設スクリーンにまで画面が拡大され映写された名作。またゲイリー・クーパーが見習い士官でチョイ役出演していることは有名。

②「ナポレオン(1927年、仏、アベル・ガンス監督)」

 パリでの公開当時、3面スクリーンで上映されサイレントながら迫力ある映像が絶賛された名画。19世紀、欧州を席巻したナポレオン・ボナパルトの一生を6部構成で完成させようとしたが、サイレントからトーキーへの変遷期や資金難もあり本作で断念されている。1981年、フランシス・フォード・コッポラ監督がオーケストラ付きで再映したが、50年前とは思えない撮影技法に、かの黒澤明監督も驚かれたという。

③「聖衣(THE ROBE、1953年、米、ヘンリー・コスター監督)」

 シネマスコープ第1回作品として20世紀フォックスが製作した大群衆劇(聖衣とはキリストが身につけていたガウンのこと)。1953年12月、東京・有楽座と大阪・南街劇場で公開された当時の記事が残されている。「世界初の大画面作品として話題を呼び、戦後最高の観客動員数を記録。左右に広がる大画面を見て“首が疲れた”などと自慢する新しもの好きが好んで見ている」。

④「2001年宇宙の旅(1968年、米、スタンリー・キューブリック監督)」

 何より監督自身が“大スクリーンで見て欲しい”と要望した作品。内容はご存知だと思うので省略させていただく。

⑤「黒部の太陽(1968年)」

 石原プロ&三船プロ合同で製作されたが、裕次郎の遺言“この作品は映画館の大迫力画面・音声で観て欲しい”により長年ソフト化されなかった。ついに2013年、DVDとBlu-ray化され、発売されると同時に購入した。JIMTOF展示会場において客寄せとして特設大スクリーンで放映することを要望しているが、いまだ関係者の賛同を得られていない。したがって、わが家で拡大プロジェクターを利用し100インチ画面で楽しむことにしている。

⑥「キング・コング(1933年、米、メリアン・C・クーパー、アーネスト・B・シェードザック監督)」

 ミニチュア人形などで動きをコマドリする撮影技法(一コマ、一コマ、カメラを止め人形を動かして撮影する技法。原点は1925年に製作された「ロスト・ワールド」であり、撮影スタッフは同じだ)は今見てもすばらしい。16歳の頃にニューヨークで見たが終映後、席から立てなかった。

⑦「七人の侍(1954年)」

 こちらもぜひ大スクリーンで見ていただきたい。リバイバルで全国公開されたときに長崎・東宝で出会ったが、感動のあまり席から立てず、次の上映時間帯も見たほどだ。

 筆者が生まれる前、1950年代以前に製作された名画を知ったのは、淀川長治さんの著書や講演によるものだ。氏は次のように表現していた“映画は頭で観たらつまらないね、感覚的に観て欲しい、また監督名で観ることも大切”。

  • (イラスト:小島サエキチ)

 毎月1日は“映画の日”特典により、1,100円で入場できる。また「夫婦50割引」を利用すればいつでも夫婦で2,200円(ちなみに夫婦関係までは確認されない)。ぜひ、映画館に出向き大スクリーンで楽しまれ、映画産業の発展にご協力いただきたい。

(雑誌「型技術」三十郎・旅日記から電子版向けに編集)

(2018/11/11 07:00)

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