(2018/3/28 05:00)
フェローテック傘下入りでマネジメント強化
アサヒ製作所(神奈川県足柄上郡、國島敏賢社長)は、2016年7月にフェローテックホールディングス(旧・フェローテック)のグループ企業となった。同社独自のリネンサプライに関するコア技術とフェローテックHDの経営マネジメント力が結集。この結果、17年12月期は営業損益が黒字に転換。18年12月期の売り上げは18年3月期比30%増、営業利益が同約4倍の増収大幅増益を見込むなど勢いを増している。
アサヒ製作所は、1933年に東京都中野区で創業以来、業務用クリーニング機器メーカーとして歩んできた。リネンサプライ業向け機械を展開し、中でもホテルや病院、介護施設、食品工場関係など衛生に厳しい業界を下支えする。
フェローテックHDにとって、リネンサプライ市場は同社が手がける半導体、フラットパネル、太陽電池市場と比べて変動が少ないことから、将来の経営基盤の安定化を見込んだ。アサヒ製作所にとっては「(フェローテックHDから)在庫管理など独自の経営ノウハウの提供を受け、経営課題の改善と気づきがあった」と國島敏賢(くにしま・としまさ)社長はいう。
現在の同社の主力製品となるのは、アサヒリモートモニタリングシステム「ARMS(アームス)」を採用した連続洗濯機。インターネットで工場と同社をつなぎ、ウェブカメラなどでリアルタイムに状況を把握できる。
機械に異常が起きても、常時モニタリングしているため、すぐに原因が分かる。技術者が到着後円滑に作業をすすめられるため、最小限までロスタイムを抑えた生産性を維持する。同機器の単体販売のみにとどまらず、パッケージ化したサービスで工場のトータルプランニングも提案しながら、国内外市場に向けて拡大していく。
同社は、国内の市場環境について2020年までは確実に活況が続くとみている。インバウンド(訪日外国人)需要によるホテル業、高齢社会の進展に伴う介護業などからの需要増を見込む。國島社長は「介護業界においては2020年を過ぎてもなお需要は高まるとみている」とし、同社のもつ国内販売網を拡大していく。
海外展開は中国やタイ、シンガポール、マレーシアなどの東南アジアなどフェローテックHDの各販売拠点で拡販を狙う。中国・上海にはフェローテックHDが所有する組立工場があり、その設備を活用した部品供給を行い、現地でのOEM(相手先ブランド)化を目指す。
マーケティング視点で、洗濯機に対する各国の市場要求も異なることを把握。日本国内では、少量で速く仕上がる回転率を重視しているのに対し、中国では100キログラムというように大容量を一括して扱える製品ニーズが求められていることから、地域の要求にマッチした機械の提供を検討している。
地域の清掃と持続的な成長
一方で、同社は地域社会に対する取り組みにも力を入れる。本社所在地の地域と立地企業のコミュニケーションの機会を創出する「中井の環境を良くする会」に参加し、地域活動に積極的だ。始業時間の9時から毎朝10分、同社の敷地内や周囲について、社長自ら草むしりや枯れ葉拾いといった清掃を行っている。清掃活動を通じて「社員や近隣の住民とのコミュニケーションも活発化している」と國島社長は満面の笑みを浮かべる。
また、同社は、16年に政府が働き方改革を提唱する以前から、ワーク・ライフ・バランスに対する意識が高く、いち早く取り組んできた。
10年から、残業代は1分ごとにつけるなど時代を先取りする。10時ー16時までの時短勤務制度も取り入れており、「時短勤務を活用していた女性社員から通常の9時ー17時45分の定時への転換希望もあった」(國島社長)といい、通常では考えられない希望もあったという。それだけ居心地良く、働きやすい環境づくりを自然と実現していることが同社の強みだ。
今後、採用について、工場だけでなく海外営業も採用していく考えをもつ。同社の海外営業本部の神谷智洋執行役員などの活躍もあり、同社は国内外で着実に成長路線を歩む。
環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の分野に取り組む企業を重視した投資であるESG投資が拡大する中で、両社はシナジーを発揮して持続的成長を図る。
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(2018/3/28 05:00)