[ オピニオン ]
(2018/11/16 05:00)
会社には便利だと分かっていても、なかなか着手できないことが多々ある。書類をデータ化して減らすペーパーレス化も、その一つ。印刷関連費用の節減などコスト削減効果が目に見えて分かりやすいものの、業務の中に浸透したとの実感は乏しい。
すでに2005年に「e―文書法」(電子帳簿保存法)が施行されており、決算書類、契約書、領収書などは電子データとして保存できるようになっている。業務の効率化にもつながり、社内の会議は紙の書類を使わず、タブレット端末を活用する企業も増えてきた。
ペーパーレス化が進まない理由は、働き方が変わらないからだ。“保管していた書類が行方不明になって仕事が止まる”“承認はハンコ”などは、多くの会社で日常風景だ。根強い書類文化からの脱却は、業務改革と表裏一体といえそうだ。
遅ればせながら、国会でもペーパーレス化の議論が始まった。衆参両院を合わせた印刷関連費は年間で10億円を超えるという。印刷費の削減や法案審議の迅速化につながるのであれば、結構なことだ。
繰り返すが、ペーパーレス化成功のカギは業務改革だ。実施にあたっては、働き方も問われることを国会議員の先生方は忘れないでいただきたい。
(2018/11/16 05:00)