[ 政治・経済 ]
(2018/12/10 14:00)
フランスのルメール経済・財務相は9日、蛍光の黄色いベストを着る抗議運動は同国の企業と経済に深刻な打撃をもたらしたほか、小売業者は大幅な損失を見込んでいると述べた。
同相は8日の激しいデモの翌9日、パリの商店を訪れ、「ビジネスと仏経済にとって大損害だ」と語った。
パリのシャンゼリゼ通りやその周辺の道路沿い、そしてオペラ座近くのショッピング街の多くの店舗はデモを見越して窓に板を張った。また、有名デパートのギャラリー・ラファイエットやプランタンは例年、年末商戦のピークを迎える12月の週末に閉店を余儀なくされた。
フランスの小売業界団体FCDの広報担当者は、デモによって小売業者の売上高は少なくとも10億ユーロ(約1280億円)減少したと語った。
マクロン大統領、10日の国民向け演説が正念場に
マクロン仏大統領はエリゼ宮(大統領府)にこもり、政権への抗議デモを収束する起死回生の策を模索している。同大統領はパリ時間10日午後8時(日本時間11日午前4時)から国民向けに演説を行う。
「黄色いベスト運動」と呼ばれるデモの参加者からマクロン大統領の信奉者に至るまで、フランス経済の下方スパイラルに歯止めをかける何らかの解決策を誰もが期待している。その元凶となっているデモは、燃料税引き上げ方針に反対する草の根運動をきっかけに先月始まった。
バンジャマン・グリボー政府報道官は9日、マクロン大統領は「フランス国民の支持を取り戻す道を見いだせる」ような「きっちり要求を満たす解決策」を示すと説明した。
ハーバード大学欧州研究所の研究員、アーサー・ゴールドハマー氏は「マクロン大統領は事態をあまりに長く放置してきたため、大掛かりな意思表示を国民は待ち受けている。大統領は自分の過ちを認める必要があり、その一方でマンデートの中身は変えず、新たな一連の優先課題を提案しなければならないという極めて難しい状況に置かれている」と述べ、今回の演説が「大統領として正念場」になるとの認識を示した。(ブルームバーグ)
(2018/12/10 14:00)