[ オピニオン ]
(2018/12/13 05:00)
企業収益は好調で、雇用所得情勢も良好だが、景気回復の足取りに陰りが見られる。企業の景況感も盛り上がりに欠ける。夏場に相次いだ集中豪雨、地震、台風などの自然災害に伴う需要・供給面の悪影響は剥落してきたものの、米中貿易摩擦によって、海外経済の減速懸念が高まっているためだ。景気回復局面が続けば、2019年1月には戦後最長を更新することになるが、日本経済はいま岐路に立たされている。
日銀は14日に12月調査の全国企業短期経済観測調査(短観)を発表する。代表的な指標である大企業製造業の業況判断DIに関しては、民間調査機関の多くが小幅悪化を予想している。米中貿易摩擦の激化を背景に、中国向け輸出が減少し、設備投資にも影響が出てきたことが悪化予想の主因とされる。業況判断DIが悪化した場合、4四半期連続の悪化となり、景況感の悪化が実体経済の不振を招くことが危惧される。
内閣府が10日に発表した18年7―9月期国内総生産成長率2次速報は前期比年率2・5%減と1次速報の同1・2%減から大幅に下方修正された。これは法人企業統計で設備投資が大きく減少したため。これまで設備投資は堅調とされてきたが、ここへきて様子が変わってきたようだ。
12月の日銀短観では例年、中小企業を中心に設備投資計画を上方修正する傾向にある。今年は企業業績が好調で、人手不足対策としての省力化投資の需要も大きい。そうした中で企業がどのような設備投資計画を示すかが注目される。
日本経済の成長を阻害する要因はいくつもある。実質賃金の伸び悩み、将来不安、人手不足、海外経済の低迷などだ。いずれも一筋縄ではいかない問題だ。官民が一体となって、これらを解決していかねばならない。
企業は好調な企業収益を生かし、賃上げや設備投資を活発化して体質強化を図り、生産性、収益性をさらに強化してほしい。それが経済の好循環を生むとともに景況感を改善し、景気の押し上げにつながるだろう。
(2018/12/13 05:00)
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