[ オピニオン ]
(2018/12/27 05:00)
総合大学の研究活動において、文・理をはじめとする異分野融合・学際連携に期待が集まっている。応用寄りのイノベーション創出だけでなく、基礎の新たな学問領域の創成でも有意義とされる。知識や技術を求める側と提供する側のマッチング手法を、各大学の特色を生かして多様な形で確立してほしい。
分野を越えて学内研究者をつなげる手法として、京都大学の「京大100人論文」はユニークだ。まず、研究者100人の参画者を募集。「研究の概要」「こんな点に困っている」「自分はこんな知やスキルを提供できる」を掲示会場に一斉に数日間、並べる。そして他研究者らが自由に来訪し、付箋紙にコメントを書いて貼り付ける。その後、研究支援の専門人材、リサーチアドミニストレーター(URA)がまとめ、ウェブ上でやりとりを仲介する。
当初どちらも匿名で大先生も若手も関係ない。友人の紹介や趣味を通じた提案など、文理の壁を軽く越えた突拍子もないコメントも付く。自由で活発な同大の校風に合うのだろう、最近の回の来訪者は400人弱だ。
異分野の研究者を結びつける一般的な方法は、研究紹介と交流の会の開催だ。しかし、多忙でシャイな研究者を集めてつなぐには工夫がいる。新潟大学は他の研究発表会と同時開催にして、広がりを確保。交流会では、URAが腕章を着け、1人きりの研究者に目を光らせ声をかけ、橋渡しして回っている。
北海道大学は農林水産学と工学などを融合した研究の支援事業で、「研究代表者は他大学研究者も可」とした。実践研究に強い道内の単科大学と、理論研究寄りの北大で相乗効果が出せる。学内融合研究の支援は神戸大学や筑波大学、立命館大学も手がける。多くは大学の独自予算という点も興味深い。
同じマッチングでも産と学の連携とは様子が異なる。各大学の得意分野やキャンパスの配置、校風でそれぞれ工夫がいるだろう。成功例を全国で共有し、日本の科学技術の新たな芽を、基礎研究から多数、育てる意味からも応援したい。
(2018/12/27 05:00)
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