[ オピニオン ]
(2019/1/11 05:00)
国連の気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)が2018年末に、温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」を運用する実施指針(ルール)を採択した。産業革命前からの気温上昇を2度C未満に抑える目標に向け国際社会が踏み出す準備が整った。ただ日本の動きは鈍い。
今回のCOP24も先進国と途上国が対立し、会期を1日延長して議論をまとめた。もし運用ルールづくりが決裂すると、パリ協定の信頼に傷つく。米国に続いて離脱表明する国が出てくる事態を避けようと、各国はギリギリで妥協した。COP24で運用ルールを合意できないと、現在の京都議定書が終わる20年からパリ協定をスタートできない可能性があった。一部決着を先送りにしたが、運用に不可欠な部分を優先し指針をまとめた国際社会を評価したい。
また、先進国と途上国に大きな差をつけず、世界全体で温暖化対策に取り組む体制を維持できたことも評価できる。パリ協定の参加国は温室効果ガス削減目標を自由に設定できるが、進捗(しんちょく)を客観的に検証できるデータ提出が望まれていた。途上国には過去からの排出が多い先進国が責任を負うべきだという考えが根強く、差をつけるべきだと主張してきた。最終的にほぼ共通の報告ルールで合意した。
ルールができたことで、日本国内の対応も次の段階に入る。パリ協定参加国は20年までに国別の削減目標強化を検討して再提出しなければならない。日本は15年、30年度に13年度比26%削減する目標を公表している。目標を据え置くのか、引き上げるのか、議論する必要がある。
また、参加国が策定する長期戦略を日本は未提出のままだ。官邸主導で議論し、19年6月に日本で開く20カ国・地域(G20)首脳会議までにまとめる。
日本は「30年度26%減」の国別目標を米中、欧州など主要国から遅れて公表した。パリ協定への批准も遅く、発効条件が整ってからだった。温暖化の国際交渉で日本の存在感が低下している。挽回のためにも目標再検討と長期戦略策定を急ぎたい。
(2019/1/11 05:00)