[ オピニオン ]
(2019/1/29 05:00)
日韓関係が、急速に冷え込んでいる。昨年末、韓国の駆逐艦が海上自衛隊の哨戒機へ射撃用の火器管制レーダーを照射した事件に続き、1月23日には韓国国防省が海自哨戒機が韓国海軍艦艇へ“威嚇飛行”を行ったと主張、謝罪を求めた。両国の関係悪化は極東アジアの平和安定にとっても経済活動にとっても、プラスにならない。日本、韓国ともに客観的な事実を見据えて、冷静な対応を望みたい。
韓国と日本は2016年11月に、軍事情報包括保護協定を結んだ。すぐ隣で核弾道ミサイル実験や挑発行動を繰り返す北朝鮮の脅威に対し、共同対峙(たいじ)するのが狙いだ。その後両国は朝鮮半島で緊張が高まるたびに協力を深めてきたが、18年10月に突如、旭日旗掲揚事件が発生。韓国で行われた国際観艦式に韓国が海自護衛艦に“旧日本海軍の軍艦旗”を連想する旭日旗を掲げないよう求める一方、自らは李舜臣をたたえる“抗日英雄の旗”を掲げる行動をとり、日本は参加を取りやめた。
レーダー照射事件の際も、日本は韓国へレーダー周波数や距離、高度データなどの客観的情報を突き合わせて共同検証しようと提案したが、韓国はこれを拒否。その後も日本非難を繰り返すなど、対立をあおる行動が目に付く。自民党議員の一部は度重なる不誠実な対応に、韓国へ経済制裁を発動すべきだとの強硬意見もある。
徴用工訴訟問題も、両国の友好や交流に影を落とす。日本側が求める協議に韓国は応じず、企業進出やビジネス拡大にも黄信号がともる。このままの状況が続けば自衛隊員や自民党議員でなくても、日本国内には反韓感情が高まるだろう。
2月下旬の米朝首脳会談を控え、韓国は南北関係改善に前のめりだ。その心情は理解できなくもないが、北朝鮮が現時点で多数の核弾頭とミサイルを保有したままでいるとの視点が欠けている。日韓が離反すれば喜ぶ国はどことどこか、明白だ。
極東アジアの平和安定に、日韓と日米韓の連携は不可欠である。両国は何が一番重要であるかをきちっと認識すべきだ。
(2019/1/29 05:00)