[ オピニオン ]
(2019/1/30 05:00)
社外取締役設置の義務化を柱とする会社法改正案を、政府が今通常国会に提出する見通しだ。企業価値の向上に向けたガバナンス(企業統治)強化につなげてもらいたい。
法制審議会(法相の諮問機関)会社法部会がまとめた法改正要綱案によれば(1)監査役会を設置(2)株式譲渡制限がない(3)資本金5億円以上または負債総額200億円以上(4)有価証券報告書の提出義務がある―の4要件を満たす大会社が、社外取締役の設置を義務付ける対象になる。
会社法では、取締役会の任務として、代表取締役の選・解任のほかに「取締役の職務執行に対する監督」と「業務執行の決定」を定めている。先進国では監督機能に特化した機関設計「モニタリングボード」が主流なのに対し、日本では業務執行にかかる意思決定が主体の「マネジメントボード」が一般的だ。
どちらの設計が優れているとは一概に言えず、社外取締役設置の義務化も、監督機能と意思決定機能の双方の強化が狙いだ。経営陣を監督する立場として、社外の第三者が目を光らせていれば、不正行為への抑止力になる。一方、個別の業務執行に関する第三者の助言が、収益拡大への果敢な意思決定を後押しするといったことも考え得る。いずれも重要な役割だ。
問題は実効性だ。東京証券取引所の調査によれば、東証に株式を上場する企業の9割超が、すでに社外取締役を置いている。にもかかわらず大企業の不祥事が後を絶たない。背景には今なお多くの企業が各事業部門の長で取締役会を構成し、取締役会が各部門の事業方針を追認するだけの役目にとどまっているなどの問題がある。
社外取締役がすでにいる企業も、効果を検証する必要がある。取締役会の議長を任せるなど、社外取締役が取締役会の運営に深く関与する仕組みを検討すべきではないか。
独立した外部人材の活用は、投資家の信任にもかかわる重要課題だ。“純血主義”を長年貫いてきた日本企業の取締役会が今後どこへ向かうかに、世界も注目している。
(2019/1/30 05:00)
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