[ ロボット ]
(2019/2/6 05:00)
【物流倉庫自動化を実現「ピースピッキングソリューション」】
物流倉庫内のピッキング作業の完全自動化は、これまで不可能であると言われてきた。扱う商品の種類が超多品種で、しかも変更の頻度が多いためだ。商品の大きさや形状を多軸ロボットにティーチング(教示)すれば自動化はある程度できる。しかし、物流倉庫では商品の大きさが大・中・小あり、形状も箱に入っていたりパウチ容器であったりと多種多様なので、毎日、ティーチングすることは不可能だ。人手を使った方が手間も少なく早い。これが、物流倉庫での自動化を阻む大きな要因になっていた。
MUJINのピースピッキングソリューションはこの難題を、モーションプランニング技術と3次元画像認識技術、高速並列分散計算処理などの組み合わせによって解決した。箱物やボトル、袋物など日々コロコロ変わる商品を、独自開発した3次元ビジョンで撮影後、画像解析を行い、大きさや形状を認識する。その上で、どの商品を下に置いたり、並べたりすれば最も収納効率が高いか、ロボが位置や姿勢情報を算出してピッキングを行う。商品が折れ曲がっていたり、いびつな形状をしていたりしても対応できる。
「世界でこれまでに解決されたことのない課題。技術的にも非常に困難だった」と、開発者のデアンコウ・ロセンCTO兼共同創業者は明かす。加えて、物流関連企業のほとんどは自動車や半導体メーカーなどと違い、ロボ導入に慣れていない。「自動化の価値を啓蒙(けいもう)する苦労もあった」とは、滝野一征CEO兼共同創業者だ。数年単位で見れば明らかに利点があるとわかっても、初期導入コストの金額を意識して導入に二の足を踏む企業が多かったという。
電子商取引(EC)で中国2位の京東商城(JDドットコム)の上海物流施設にシステムを納入し、完全無人倉庫の実現に寄与したあたりから風向きが変わってきた。薬品大手やEC大手、家電、電子部品大手から注文が相次いで舞い込み、引き合いも増えている。「物流業界の人手不足イメージを変えたい」と、デアンコウ・ロセンCTOは意気込む。(編集委員・嶋田歩)
【製品プロフィル】
物流現場で自動化の障害となっていた製品種類の多さを、独自技術の“ロボットの知能化”により、解決したピッキングソリューション。ロボへの教示作業なしに大きさや形が違う物流現場の荷物を3次元画像で認識、重い物はゆっくり運ぶ、繊細な品は慎重におろすなどきめ細かい調整ができる。ロボメーカーを選ばない汎用性も備える。
(2019/2/6 05:00)