[ オピニオン ]
(2019/2/6 05:00)
廃棄された業務用空調機器に冷媒として使われていた代替フロンの漏えい量が多い。政府は代替フロンの回収を徹底するため、罰則を強化する方針を固めた。日本製の空調機器は途上国でも使われるようになっており、国内での回収率向上は海外でもビジネスチャンスとなる。
かつては空調機器の冷媒だった特定フロンは、オゾン層を破壊するためモントリオール議定書によって国際的に使用が禁止された。21世紀中にオゾンホールがふさがれると予測されており、規制の効果が表れた。
一方で副作用も出た。オゾン層を破壊しない代替フロンが普及したが、温暖化を招く作用がある。代替フロンのハイドロフルオロカーボン(HFC)は二酸化炭素(CO2)の数百―数万倍の温室効果を持つ。
国内のHFCの排出量は温室効果ガス全排出量の3%だが、2017年度までに13年度比4割増加した。HFCを採用した空調機器が更新時期を迎えており、廃棄作業時に漏れ出しているためだ。環境省の担当者は「省エネルギーの努力を代替フロンが食いつぶす」と危機感を強める。
そこで政府は15年、「フロン排出抑制法」を施行し、空調機器の利用者が廃棄時にフロンガスを回収業者に引き渡すことを義務付けた。ただ、周知不足や繰り返し違反しなければ罰則を受けないこともあり、廃棄した機器からの回収率は3割台にとどまる。
16年の閣議決定で回収率を20年度に50%にする目標を定めたが達成は難しく、政府は対策を強化することにした。フロン排出抑制法を改正し、一度でも違反すれば罰金などを科すようにする。ビル解体業者が利用者にフロン回収を説明した書類の保存も義務化する。今年の通常国会に提出し、成立を目指す。
環境省は海外でのフロン類の回収や無害化の技術支援を始めている。ただ、日本の技術がいくら優秀でも、回収率が低いと相手国への訴求にならない。回収率を着実に向上させ、回収ノウハウをセットとすることで技術を海外に売り込んでほしい。
(2019/2/6 05:00)
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