[ オピニオン ]

社説/B20東京サミット デジタル革新への政策提言に注目

(2019/3/15 05:00)

経団連は15日まで、20カ国・地域首脳会議(G20)構成国の経済団体や民間国際機関などによるビジネスサミット「B20東京サミット」を開く。6月28、29日に開催される政府首脳の「G20」と歩調を合わせつつ、経済界としての共同提言が期待される。

B20は10年11月に開かれた韓国ソウルでのサミット以降、タスクフォースに分かれて事前に提言を準備する形が定着した。

東京サミットでは、タスクフォースを設けず、各国経済団体と連携。「ソサエティー5・0を通じたSDGsの達成」を全体テーマに世界経済、貿易・投資、デジタル革新などのテーマについてパネル討議し、地球規模の諸課題について共同提言をまとめ、G20首脳に提出する。

世界的にデータ・ガバナンス(統治)議論が活発化する中、データ利活用をめぐる政策の枠組みやサイバーセキュリティー分野の国際協力、人工知能(AI)の利用推進、現実空間プロジェクト立ち上げなどデジタル革新への政策提言が注目される。

G20にしっかりと伝え、データの保護や規制をめぐるルール作りについて日本がイニシアティブを持って進めていきたい。

今回の東京サミットでは、政策提言にとどまらず、企業の取り組みをまとめた8項目の「B20自主行動計画」を策定する予定だ。国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の企業戦略への統合や従業員の潜在能力の最大化、環境と経済の優先事項の統合、政府との健全な関係確保、危機管理の徹底などが盛り込まれる見込み。

ただ、前回18年10月に開催されたアルゼンチン・ブエノスアイレスでのB20サミットでは、中国国際貿易促進員会(CCPIT)が政策提言の一部に関し、G20に提出される事に強い反対声明を公表した経緯がある。

米中貿易摩擦をはじめ、世界経済が混迷の度合いを深めている今こそ、経済界が価値観を共有することは極めて重要だ。中国を取り残すことなく、内容の濃い、実効性のある共同提言を取りまとめられるか。主催団体の手腕が問われる。

(2019/3/15 05:00)

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