[ オピニオン ]
(2019/3/20 05:00)
米中貿易摩擦による中国経済の減速が、各種統計に影を落とし始めている。中国ではこれまで景気を下支えしてきた企業業績、設備投資の伸びにブレーキがかかる兆しがある。先行きをめぐり4月にも開かれる米中首脳会談が焦点になる中、日本企業にとって、対中輸出が鈍る可能性もある。一方で、中長期的には多くの日本企業にとって、中国が最重要輸出先であることに変わりはない。
内閣府が海外経済の動向を半年ごとに分析したリポート「世界経済の潮流」によると、米中貿易摩擦が米国経済に及ぼす影響に関して、中国による追加関税措置の対象になった大豆や自動車を中心に、輸出が大幅に低下。中国経済への影響について同リポートは、最大の輸出相手先である米国が追加関税措置を3回にわたって実施する中でも、輸出額は2018年4―6月期が前年比11・5%増、7―9月期は同11・7%増と堅調だった。ただ、10―12月期は同4・0%増と伸びが大幅に鈍化したと指摘した。
国内に目を向けると、財務省と内閣府が12日発表した19年1―3月期の法人企業景気予測調査では、大企業・全産業の景況判断指数(BSI)はマイナス1・7と、3四半期ぶりのマイナスだった。先行きは4―6月期がマイナス0・3、7―9月期はプラス5・7を見込む。米中貿易摩擦による中国経済減速などが影響したとみられる。
中国景気の減速懸念があるなか、今後最も重要な輸出先として中国を選ぶ企業は多い。日本貿易振興機構(ジェトロ)がまとめた「2018年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」によると、輸出の拡大や開始を検討する日本企業に最重要輸出先を聞いたところ、全体の28・1%が中国と回答。16年度調査と比べると8・3ポイントの増加で、ジェトロは中国経済の減速懸念の影響は限定的だと見ている。足元で減速感があると言っても、一喜一憂する必要はないようだ。中長期的には、日本企業にとって、中国が最重要輸出先であり続けるということを再認識したい。
(2019/3/20 05:00)
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