[ オピニオン ]
(2019/3/22 05:00)
私事で恐縮だが、インドネシアに駐在していた友人が帰国して、何年かぶりに会う機会に恵まれた。「やはり日本はいいね」。彼が言い放った。
「どうしたの」と尋ねると、インドネシアの方の仕事ぶりを話し始めた。彼が同国で駐在していた借家の水回りの調子が悪く、設備業者を呼んだ。しかし、数日するとまた調子が悪い。同じ業者に頼んでもらちがあかないので、別の業者に頼んでようやく改善したという。
もし日本なら、設備業者に頼むと、改善に全力を尽くす。1回悪評判が立つと、あっという間に広がるからだ。言葉も国民性も違う異文化が交じり合うことの難しさを垣間見た。
東南アジア諸国と日本との双方向の文化交流強化を担う国際交流基金の「アジアセンター」が設置されて5年。事業の柱の日本語普及では、2014年から19年度末までに各国に派遣した総数は累計約2500人に達する見込み。「でも日本人の99・999%はアジアセンターを知らない」と、国際交流基金の安藤裕康理事長は嘆く。
同センターは、今年6―7月、5年の活動を総括するイベント「響きあうアジア2019」を東京都内などで開く。接する機会が増えれば、文化交流を通じてアジアの未来が広がる。
(2019/3/22 05:00)