[ 政治・経済 ]
(2019/3/25 05:00)
【ジャカルタ=時事】インドネシアの首都ジャカルタで建設が進められていた大量高速鉄道(MRT)が完成し、24日に開業式典が開かれた。設備から運行システムまでの全てを日本企業が受注した事業で、一部区間は国内初の地下鉄として走る。国際協力機構(JICA)によると、「オールジャパン」のインフラ輸出で地下鉄が開通するのは東南アジアで初めて。
完成したのはジャカルタ中心部と南部を結ぶ15.7キロメートル。中心部の約6キロメートルは幹線道路の地下を、残りは高架上を走る。この区間は車で1時間以上かかるが、MRTなら30分間で移動可能。「世界最悪」とされる渋滞の緩和が期待される。
MRTは自動で走行し、13駅全てに設置されたホームドアの開閉を含め、指令所で一元管理する。日本で開発されたシステムで、乗務員は緊急対応のみ担当する。
運営会社によると、25日に開業するが運賃は未定。10キロメートル当たり1万ルピア(約78円)を軸に検討しており、月内は無料となる。
事業は約1250億円の円借款が組まれ、トンネル掘削を含めた鉄道建設から、信号やホームドア設置、車両製造までの全てに日本企業が関与。16編成の計96車両は新車で、日本から輸入された。
北へ約8キロメートル延伸する第2期や、東西約32キロメートルを結ぶ第3期の事業も計画されている。
ジョコ大統領も式典に出席し、「これは第一歩に過ぎず、MRTは拡張していく」と述べた。石井正文駐インドネシア大使は式典後、大統領から「MRTは今後も日本と一緒に進めたい」と告げられたことを明かした。JICAによると、首都圏の交通を統合するマスタープランの策定も日本が関与することになった。
(2019/3/25 05:00)