[ オピニオン ]
(2019/4/19 05:00)
大阪の「ミナミ」こと難波かいわいは平日でも多くの訪日外国人でにぎわっている。この街を通るたびに思う。「にぎわいはいつまで続くのか」と。
大阪都心を南北に貫く新たな鉄道路線「なにわ筋線」がミナミを変えるかもしれないからだ。「キタ」と呼ばれる梅田周辺と関西国際空港をダイレクトに結び、所要時間も大幅に短くなる。2031年春の開業を目指している。
しかし、なにわ筋線の影響でミナミが通過地点になる懸念がある。東京では「北の玄関口」と言われた上野駅が20数年前の東北・上越新幹線の東京延伸や15年の上野東京ライン開通を機に存在感が薄くなった。交通インフラは人の流れを劇的に変える。
かつて難波にあったプロ野球「南海ホークス」の本拠地、大阪球場は複合施設「なんばパークス」に生まれ変わった。18年には南海難波駅直結の複合ビル「なんばスカイオ」ができた。ミナミの“顔”は変わり続けている。
大阪らしさを形容する「コテコテ」という言葉はキタよりミナミの方がよく似合う。おいしいたこ焼き屋も、吉本新喜劇が生で見られる「なんばグランド花月」もこの地にある。なにわ筋線ができても途中下車したくなる、魅力ある街であり続けてほしい。
(2019/4/19 05:00)