[ オピニオン ]
(2019/4/30 05:00)
平成は、コーポレートガバナンス(企業統治)が揺さぶられ続けた。日本型経営による高い経済成長がバブル崩壊によって終わりを告げ、欧米型の社外取締役重視のガバナンスが注目されている。不祥事が発生して、新たなルールがつくられる。回転木馬のようなドラマが繰り返された時代だった。
始まりは、平成元年(1989)のリクルート事件。政官財各界に未公開株を譲渡した贈収賄事件で、当時横行していたインサイダー取引が背景にあった。その後、同取引に刑事罰が科せられるようになった。
91年、証券会社による巨額損失補填(ほてん)が問題となった。その後の商法改正で、大企業に社外監査役の選任が義務付けられるようになる。
バブル崩壊後、金融機関の融資姿勢にも変化が起きる。企業への貸し付けが不良債権化し、年ごとにその額が膨らんでいったことが企業への貸し付け姿勢を萎縮させた。97年の山一証券の巨額簿外債務による経営破綻、第一勧業銀行の総会屋利益供与事件などが相次ぎ、日本のガバナンスに対して、疑問視する声が相次いだ。これらの結果、2003年には、大企業に社外取締役を起用する指名委員会等設置会社の選択を認めた改正商法が施行された。
一方で、欧米型のガバナンスにも問題が発生する。米エンロンやワールドコムの巨額粉飾が明るみにでたことが発端となった。会計の不正防止に対する関心が高まった。
15年には、改正会社法と上場会社に適用されたコーポレート・ガバナンスコード(企業統治指針)の運用が始まる。
しかし、その後巨額損失隠し事件のオリンパスや不適切会計問題の東芝など不正が相次ぐ。
最近では、日産自動車のカルロス・ゴーン元会長が報酬過少記載問題などで逮捕された。
大きな不祥事があると、必ずといって良いほど、改善と予防のための制度改定が繰り返されてきた。次の令和には、企業が率先して不祥事を防ぐ文化を育てたい。
(「平成の遺産」おわり)
(2019/4/30 05:00)