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[ 科学技術・大学 ]
(2019/5/2 05:00)
フランスのコンデ美術館で報道陣に公開された「裸のモナリザ」(3月12日、パリ近郊シャンティイ城内=時事)
【パリ=時事】ほほ笑みを浮かべてこちらを見詰める絵の中の人物―。体つきは女性だが、腕や顔は男性のようにも見える。上半身を横に向けて両手を組む姿は、レオナルド・ダビンチの「モナリザ」にそっくりだ。フランスのパリ北方にあるシャンティイ城内のコンデ美術館に所蔵されている絵画「裸のモナリザ」が、専門家による分析の結果、ダビンチが描いた可能性が非常に高いことが分かった。2日はダビンチの没後500年。6月から記念展覧会を開催し、特別に展示する。
コンデ美術館によれば、「裸のモナリザ」はシャンティイ城の所有者だったオマール公が1862年に購入した。1990年代と2014年に短期間公開された以外は、劣化を抑えるため館内に秘蔵されている。
モナリザが描かれたのは1503年以降とされ、「裸のモナリザ」は1510年前後の制作とみられる。ダビンチの工房で描かれたことは分かっているが、弟子か本人の作かは不明。
コンデ美術館は2017年秋、没後500年を前に真偽を確かめるべく、モナリザを所蔵するルーブル美術館内の仏美術館修復研究センターに分析を依頼。顕微鏡や紫外線を使い、左上から右下に向かって描かれたことを突き止めた。ブルーノ・モッタン・センター長は「明らかに(ダビンチと同じ)左利きの画家の作品だ」と強調した。
ただ、工房には左利きの弟子が1人いたことも知られており、コンデ美術館学芸員のマチュー・デルディク氏は「ダビンチ本人が描いたと断定はできない」と語る。それでも、腕や手の位置がモナリザとほぼ一致するほか、使われた紙は、ダビンチの活動と同時期に同じ地域で生産されたことも判明。「卓越したぼかし技法や入念な輪郭の描き方などからも、ダビンチ本人の作品である可能性は極めて高い」と語った。
(2019/5/2 05:00)