[ オピニオン ]
(2019/6/14 05:00)
主要20カ国・地域(G20)エネルギー・環境相会合が15日、長野県軽井沢町で始まる。日本は議論を主導し、海洋プラスチックゴミをめぐる問題解決で実効性のある合意を目指してほしい。
世界では、年800万トンのプラ製品が陸から海へ流れ出ている。日本の年間のプラ消費量1000万トンに迫る量だ。劣化して砕かれると回収は難しくなり、生態系への影響が指摘されている。1年前の2018年6月、カナダでの先進7カ国(G7)首脳会議で、プラの再利用目標を定めた「海洋プラスチック憲章」がまとまったが、日本は署名せず、日本のプラ対策が遅れている印象が広がった。
当時から政府は、議長国を務めるG20で解決策を提案するとしていた。G7からの海への流出量は全体の数%だが、G20だと5割近くになる。廃棄物回収制度が不十分なアジア諸国からの排出が多く、「G20で取り組んだ方が実効性がある」と主張してきた。
主導力を発揮しようと政府は、18年夏からプラ対策の議論を開始。5月末、使い捨てプラ廃棄の削減目標を定めた「プラスチック資源循環戦略」を策定した。海洋プラ対策となる行動計画もまとめ、原田義昭環境相はレジ袋の無料配布を禁止する法令制定に意欲を示した。
さらに政府は、バーゼル条約改正を提案し、輸出入の制限対象に汚れた廃プラを加えた。戦略や行動計画、条約改正によってG20参加国に日本の「意気込み」は伝わるだろう。
産業界でもプラ削減への動きが強まっている。サントリーホールディングスは30年までにペットボトルの全ての原料を再生かバイオ由来の素材にすると発表した。製紙や化学メーカーも代替素材の開発に力を注ぐ。
日本はG20で各国に行動計画策定を呼びかける。削減目標の設定など、どこまで踏み込んだ枠組みを構築できるのか。外交手腕を発揮し、実効性のある合意をまとめてほしい。日本が環境対策の国際交渉でリーダーシップを取り戻すチャンスだ。途上国にプラゴミ対策が促されると、産業界に商機が生まれる。
(2019/6/14 05:00)
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