[ ICT ]
(2019/6/16 05:00)
米アルファベット傘下のグーグルは、子会社ネストの温度自動調節器やサーバー向けハードウエアの一部生産を中国国外に移しつつある。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。米国による懲罰的関税や中国政府の対抗措置を回避するためという。
社内事情だとして関係者が匿名を条件に語ったところでは、グーグルは既に米国向けマザーボード生産の大部分を台湾に移転。米当局者は中国で製造されたマザーボードを安全保障上のリスクとして挙げているものの、グーグルはサプライヤー各社との会合でその件に触れなかったと関係者は語った。ネストの機器の米国向け生産も台湾やマレーシアに移したという。
トランプ米大統領が世界貿易や製造業の枠組みに影響を与え、中国内外の企業は生産の軸足を同国から移そうと模索している。世界最大の消費者市場で生産拠点でもある中国で、フォード・モーターやフェデックスなどの米企業に対する締め付けが強化される兆候も増えている。
こうした状況から、中国を世界の工場と長く見なしてきた米企業は代替地探しに乗り出している。米アップルと契約する鴻海精密工業など、世界の電子機器の大半を生産する台湾の受託生産業者は2018年以降、顧客の指示でそうしたシフトを加速させてきた。鴻海は11日、今のところアップルからは求められていないとしながらも、必要なら全ての米国向け「iPhone(アイフォーン)」を中国国外で生産する十分な能力があると説明した。
グーグルは3月、台北に新たなキャンパスを建設し、台湾の人員を増やすと発表。生産拠点を多様化させる取り組みに関係しているかは分かっていない。同社は生産の調整について、コメントを控えている。(ブルームバーグ)
(2019/6/16 05:00)