[ オピニオン ]
(2019/6/28 05:00)
国税庁が税務上の扱いを見直すよう示したことを受けて、今春から生保各社が販売を見合わせている「経営者保険」。従来のままの商品では販売再開が難しいため、各社は商品改定の準備を急いでいる。
この保険は契約者と保険金受取人を法人、被保険者を経営者、役員、従業員とし、保険料を原則、全額損金算入できる仕組み。経営者に万一のことがあった場合、保険金を事業承継の財源とすることが可能な点が特徴。
このため納税の繰り延べ効果を狙って加入する法人が相次いだ。また解約した際に多くの返戻金がもらえる商品もあって『節税保険』の異名を取った。中小企業経営者のニーズに合致したこともあり、各社の売り上げに大きく貢献した。
保険料の全額損金算入や解約返戻率の高さのみを強調した保険本来の趣旨に反する販売に対し、国税庁が異を唱えたのはごもっとも。新たな通達では解約返戻金の返戻率などに応じて保険料の損金算入割合が制限される。
経営者にとって事業承継は悩みの種。超低金利で資産運用難の現在、資金面で後ろ盾となる経営者保険へのニーズは依然として大きい。生保各社は節税効果ではなく、保険本来の機能を売りに積極的な販売を展開してほしい。
(2019/6/28 05:00)