[ オピニオン ]
(2019/7/2 05:00)
まるでサーカスのショーを見せられたかのようなサプライズだった。30日のトランプ米国大統領と金正恩朝鮮労働党委員長との会談は、南北分断の象徴である軍事境界線上の板門店で実現した。現職の米国大統領が北朝鮮の領域に足を踏み入れるのは初めてだ。
トランプ米大統領が金委員長にツイッターで面会を呼びかけて、表面上はわずか1日での会談となった。もちろん水面下では会談の調整が続けられてきたに違いない。
米朝首脳が会うのは、今年2月末のベトナム・ハノイでの首脳会談以来。今回の会談は、トランプ米大統領にとって、来年に控えた大統領選を前に、北朝鮮との緊密な関係をアピールすることで協議再開の突破口を開きたいとの思惑がうかがえる。
一方、金委員長は現職の米国大統領を北朝鮮に招き入れたということで、国内向けに威厳を保てるという意味がある。両首脳ともパフォーマンスにたけており、華やかな演出に世界は見せられた。
非核化をめぐる米朝交渉は、実務者協議に委ねられる。非核化プロセスに関するトップ同士の合意がない中で、どれだけ交渉が進むかどうか。これからの両国の動きを慎重に見極めながら、日本は日朝会談にむけた動きを進めるべきだ。
(2019/7/2 05:00)