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(2019/8/2 05:00)
電源トランスは電源部分から入力されてきた供給電圧を出力側である負荷機器に対応した電圧に変換する電力機器、電子部品のことである。電圧を変換することで負荷機器の異常動作を防止するのに役立っている。また電源供給する側と出力側の負荷機器とを絶縁して、入力側からの電流が直接流れるのを防ぎ、出力側の回路を絶縁保護するなどの機能がある。
新たな付加価値の創出がカギ
電源トランスの基本的な構造は、電気を入力する電源側の1次コイル(巻き線)と電気を出力する負荷側の2次コイル、そして磁性体のコア(鉄芯)から成る。トランスは太陽光発電などの設備に利用される大型なものからプリント基板で実装される小型なものまで多種多様にある。
電源トランスの構造では、相数と巻き方で分類される。相数で見ると、一つの電気回路に対して一つの正弦波の電流が流れる「単相」と一つの電気回路に対して三つの正弦波の電流が流れる「三相」がある。
また巻き方では「単巻」と「複巻」がある。「単巻」は1次コイルと2次コイルが連続した巻き線となり、電気的に絶縁しない巻き方のことをいう。これは別名でオートトランスとも呼ばれている。構造が簡単なため、軽量、小型化が可能だが、1次コイルと2次コイルが絶縁していないため1次コイルと2次コイルの間で電流が流れる。それに対して「複巻」は、1次コイルと2次コイルが別々に巻線され、その間が絶縁されているものをいう。そのため絶縁トランスとも呼ばれる。1次コイルと2次コイルの線がつながっていないため、供給された電流は電磁誘導によって2次コイルに伝わる。入力された1次コイルの電流が2次コイルに直接流れることを防ぎ、2次コイルにつながれた回路を保護する。このように「複巻」トランスは電圧を変換するだけでなく、入出力の電流を絶縁保護する機能も兼ね備えている。
作業時の感電防止に寄与
トランスの絶縁機能のほかにも、作業現場の安全性を考慮したモノづくりがされている。例えば端子カバーは作業時における感電労働災害を防止する役割がある。最近では、端子カバーなしでも指が端子に接触しない程度の国際電気基準会議が規定した保護等級を示したIP2X対応のフィンガープロテクト端子台も活用されている。これは配線の接続時にカバーの取り外し工程を削減し、作業効率の向上に貢献する。トランスの基本的な構造は発明された当初からほとんど変わらず活躍している。今後のトランスのさらなる発展には軽量・小型化や作業工程の削減を図った製品開発など、新たな付加価値の追求が重要になりそうだ。一方、企業動向では生産設備を自動化する動きがある。中でも小型のトランスの製造工程では、ボビンに銅線を巻き取る自動巻線機などを導入しているメーカーもあり、生産性向上に取り組んでいる。
(2019/8/2 05:00)