[ オピニオン ]
(2019/8/9 05:00)
高校ラグビーの聖地「花園」と、国内随一の産業集積を誇る大阪府東大阪市。しかしどうやらそれだけではないらしい。市の文化芸術発信の場として東大阪市文化創造館が9月1日にグランドオープンする。
連携関係にある関西フィルハーモニー管弦楽団の助言を取り入れたホール設計は本格的な3層バルコニー形式。野田義和市長は「おそらく日本でトップクラスの音響設備」と胸を張る。
ラグビーやモノづくり、文化芸術など関連性のない顔が同居するのが東大阪市の妙。作家、司馬遼太郎は「猥雑(わいざつ)な土地でなければ住む気がしない」と、この町を終の住処にした。猥雑との物言いは、多様性を好んだ司馬氏の愛情表現に聞こえる。
奥の深いものほど“はまる”まで時間がかかるが、何かに触れる機会の多さには事欠かない土地柄だ。せっかくなので赴任中に、あらゆることへ興味を広げたい。とはいえ芸術方面は自他共に認める音痴だ。
創造館の竣工記念式典で歌われた曲、プッチーニ作のオペラ「トゥーランドット」のアリア「誰も寝てはならぬ」には、内容ではなく題名にまずドキリとさせられた。「そんなことはしません」と心でつぶやきながら聞き始めた。結論は「寝てたら損」である。
(2019/8/9 05:00)