(2019/9/23 05:00)
天の張る網は広くて目が粗いように見えるが悪事は取り逃がさない。「天網恢恢(かいかい)疎にして漏らさず」の故事のようにはいかないのがフロン漏洩(ろうえい)だ。故意の漏洩は発見が難しく、タイヤの空気のように機器使用中にフロン冷媒が漏れてしまうこともある。
モントリオール議定書キガリ改正を受けて、今年1月からHFCは製造・輸入の段階的な削減が始まった。さらに来年4月には業務用冷凍空調機器廃棄時のフロン回収率を向上するため、関係者が相互監視する制度が始動。漏洩時の罰則も厳しくなる。
業界関係者の新制度に対する評価は現実的だ。「HFCはHFOより冷媒としての性能に優れる。漏洩量を削減できればHFCの再生利用を促し、長く使い続けられる」と期待する。
国はフロン類を二酸化炭素換算で年間1000トン以上漏らした企業について、企業の報告に基づきウエブ上で公表している。漏洩の実態を把握し改善に役立ててもらうためだ。
大企業が名を連ねていることに「赤信号みんなで渡れば…」と揶揄(やゆ)する声もあるが、漏洩防止はユーザーの誠実な対応が頼みだ。漏洩を公表する企業は環境意識が根付いている証左といえないか。『温暖化ごめんなさい賞』でもあれば表彰したい。
(2019/9/23 05:00)