(2019/12/4 05:00)
東大で成績優秀者の進路といえば、かつては官庁や大企業と相場が決まっていた。「最近は米国で経営学修士を取得し、起業を目指す学生が増えている」と大学関係者は学生の意識の変化を指摘する。
第4次ベンチャーブームの始まりは「大企業による投資ファンドがたくさんできた2、3年前」と言うのはTNPパートナーズ社長の呉雅俊さん。ベンチャー投資のプロはブームを歓迎しつつも「大手の多くは減損を恐れてリスクをとりたがらない」とも。
政府は企業の内部留保を産業創出に活用するため、ベンチャーに出資した企業の税額控除を検討している。企業のリスク許容度が高まり、先行投資がかさむ先端医療ベンチャーなどに資金が循環する呼び水になるといい。
日本総合研究所上席主任研究員の岩崎薫里さんは「日本にとって本当に必要なのは、政府が目標にするユニコーン20社より、地方の課題を解決するベンチャー」と指摘する。税額控除は地域発ベンチャーにとっても福音となる可能性がある。
革新的イノベーション創出や地域の課題解決には、ベンチャーの機動力と大企業がリスクマネーを提供する覚悟の両方が求められる。投資を担う企業が一歩踏み出すことを期待したい。
(2019/12/4 05:00)