(2019/12/5 05:00)
増税による消費の落ち込みを防ぐために始まった「ポイント還元」制度。クレジットカードやスマートフォンを使ったキャッシュレス決済で、中小小売り店は購入額の5%分、コンビニなどで2%分が還元される。
開始から約1カ月で消費者に還元されたのは1日あたり平均約12億円。利用の急増で、政府は予算を当初見込みから増額する検討に入った。キャッシュレス還元店も1日時点で約86万店になり、さらに増える見込みだ。
ただ、気になるデータもある。ローソン銀行などの調査によると、「還元開始以降店舗での買い物に利用した決済方法」で最も多かったのは、「現金」の83・7%、2位は「クレジットカード」で76・1%、スマホ決済は46%。依然として現金優位が続いている。
政府は還元制度で、諸外国より遅れているキャッシュレス決済の普及をもくろむが、現時点では思惑通りに進んでいない。特に地方で還元対象の店舗が少なく、高齢者の活用も低調だ。
ポイント還元は20年6月に終わる。中小小売店にはカード会社への手数料引き上げという課題も待ち構える。キャッシュレス社会が消費者にどんな利便をもたらすのか。目先のポイント付与より、地道な取り組みが必要ではないか。
(2019/12/5 05:00)