社説/阪神・淡路大震災から25年 SNSとAIで災害対応に挑め

(2020/1/16 05:00)

阪神・淡路大震災から17日で25年を迎える。地震に限らず、大型の風水害も頻発している。想定外の自然災害が起こることを前提にした対策が重要だ。災害情報を効率よく収集・運用するために、デジタル技術の活用も加速してもらいたい。

昨年末、神戸市内で阪神・淡路大震災25年シンポジウム「SNSやAIで大災害から命を守る」が開かれた。慶応義塾大学の山口真吾准教授が、フェイスブックやLINEといった会員制交流サイト(SNS)で被災者から災害情報を集め、人工知能(AI)で情報分析し、防災・減災の課題解決を図るという提言を行った。具現化へ、17年10月に「電脳防災コンソーシアム」、19年6月には「AI防災協議会」といった産学官の組織も発足している。

山口准教授は、災害対策本部となる行政側などが、SNSを通じて被災者から被災状況を収集し、AIを使い被害の種類別に情報を自動分析・仕分けすることで、復旧や応援の体制を迅速に確立できると考える。「医療の世界でオーダーメード医療があるように、防災も個別に最適な情報提供ができるはずだ」と訴える。

阪神・淡路で大規模なガス供給停止を経験した大阪ガスは、災害時の情報連携に取り組む。同社は18年5月に、大規模地震発生時に、ガス供給を停止した区域を復旧させる進捗(しんちょく)状況や復旧完了見込み日を、デジタル地図でホームページから閲覧できる「復旧見える化システム」を構築した。その1カ月後に発生した震度6弱の「大阪北部地震」でもシステムは有効活用された。

大ガスはデジタル地図情報を国の防災科学技術研究所にも提供。防災科研は避難所等の地図情報を重ね合わせ、災害対策支援地図を作製した。同地図は、自衛隊などが給水支援や入浴支援などに活用したという。

大規模災害では、同時多発に被害が発生する。被害状況を早期に把握すれば、より深刻なエリアに支援が回せる。そのために、デジタル技術の活用を進めてもらいたい。

(2020/1/16 05:00)

総合2のニュース一覧

おすすめコンテンツ

「現場のプロ」×「DXリーダー」を育てる 決定版 学び直しのカイゼン全書

「現場のプロ」×「DXリーダー」を育てる 決定版 学び直しのカイゼン全書

2025年度版 技術士第二次試験「建設部門」<必須科目>論文対策キーワード

2025年度版 技術士第二次試験「建設部門」<必須科目>論文対策キーワード

技術士第二次試験「総合技術監理部門」択一式問題150選&論文試験対策 第3版

技術士第二次試験「総合技術監理部門」択一式問題150選&論文試験対策 第3版

GD&T(幾何公差設計法)活用術

GD&T(幾何公差設計法)活用術

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン