(2020/2/20 05:00)
電圧・電流・電力測定器は電圧(ボルト)、電流(アンペア)、抵抗(レジスタンス)、電力(ワット)などの測定に欠かせない機器だ。エレクトロニクスの研究開発から、生産現場の機器のメンテナンス、学校の授業まで幅広く利用され、2019年度以降、伸長が期待されている。
電圧・電流・電力測定器には電圧や電力などを測定するデジタルマルチメーター(DMM)やクランプメーター、消費電力や待機電力などを測定する電力計・パワーアナライザー、標準電圧電流発生器などが含まれている。研究開発では主に机上に置くベンチトップ、現場ではハンドヘルドが用いられ、目的や要求精度に合わせて選択ができる。
日本電気計測器工業会(JEMIMA)が19年12月に発表した「電気計測器の中期見通し」によると、電圧・電流・電力測定器の19年度国内市場は前年度比横ばいの57億円と予測し、19~23年度の平均伸び率を2.7%とした。18年度は国内生産ラインの新規投資抑制により17年度比需要減となった。
JEMIMAは19年度以降の増加要因として、電気自動車やプラグインハイブリッド車などのxEVの開発に加え、世界的な排ガス規制・燃費基準に対応した動き、xEVの充電インフラ整備、新たな無線給電システムの開発や評価、標準化を挙げている。
また、エネルギー関連では高効率電力供給技術の開発やエネルギーの貯蔵・変換技術の開発にも需要を伸長するとしている。
電圧・電流・電力測定器は測定確度の向上や利便性、安全性などユーザーの測定要求の一歩先を見据え常に進化を続けている。
ハンドヘルドタイプでは、ブルートゥースやWi-Fiモジュールなどの無線機能を搭載。モバイル端末に測定したデータの転送や、遠隔操作を実現している。これまで測定者と測定値の記入者の2人が必要とされた現場では、測定者1人で対応できる。
ブルートゥースを搭載したクランプメーターなどを手がける共立電気計器は「手軽に電圧・電流波形や高調波のグラフをモバイル端末で表示できると好評。無線機能搭載モデルのラインアップ強化を予定している」と述べ働き方改革推進に現場測定の省力・効率化に貢献する。
販売商社 車向け伸長 販売増期待
日本電計は「電圧・電流・電力測定器市場の需要背景は悪くない。無線機能搭載の利便性からハンドヘルドタイプは車載のワイヤハーネスの測定、計装分野などで一般化になる」と期待する。
東洋計測器は「電力測定器が好調に推移しており、xEVの開発向け需要と分析している。ハンドヘルドタイプはリプレース需要が見込める」。
東日本電子計測は「主要顧客の一つが自動車業界で、中期的にもxEVのインフラ整備やワイヤレス給電などエネルギー関連の研究開発需要で伸びる」と予測する。
九州計測器は「電子部品・デバイスの開発需要がけん引材料と考えており、中期的に測定器の増加を見込んでいる。これまでカスタム対応で無線機能を測定器に搭載してきた。扱いメーカーやラインアップ増は販売力高まる」と歓迎する。
(2020/2/20 05:00)