(2020/4/9 05:00)
感染防止へ企業が協力できることは多い。得意分野を発揮し、医療現場を支える一助となってもらいたい。
新型コロナウイルスの感染拡大で、東京などの医療現場では患者の収容が限界に達しようとしている。政府は軽症の患者は自宅やホテルに移し、病院のベッドは重症者のために確保するとの方針を示した。東京都や大阪府はホテルの確保を進めており、東横インやアパホテルが協力に名乗りを上げた。
世界的に不足する人工呼吸器や人工肺装置、医療用防護衣やマスクなどについても、異業種を含め多くの企業が参入を表明している。
トヨタ自動車は医療用フェースシールドを3Dプリンターで製作して医療機関に提供するほか、医療機器メーカーに生産工程の改善で協力し、人工呼吸器などの増産を支援する。デンソーやトヨタ紡織はマスクの自社生産に乗り出す。スズキもインドで人工呼吸器やマスク、防護服を生産する。
シャープが三重工場でマスク生産を開始したほか、おむつ製造装置が本業の瑞光は、マスク製造装置を製造する。また、全日本空輸(ANA)は、一時帰休状態にある客室乗務員などから「防護衣の生産を手伝いたいという声があがり、関係者と実現へ調整している」(広報)という。さまざまな企業が支援の手を差し伸べようとしているのは心強い。
一方で、こうした医療現場に不可欠な物資が、中国など海外に依存する実態も明らかになった。例えばマスクや防護衣に不可欠な不織布は、日本企業の比率が20%で残りは中国産。「現状は国内がフル生産で対応している。ただ、マスクメーカーも中小企業が多く、今後中国での生産が通常に戻れば、価格面で太刀打ちできない」(日本不織布協会)と指摘する。
政府は国内回帰へ生産拠点の整備を補助する方針。ただ、今回のような医療関連物資については、国内生産分を国が一定量定期的に買い取るなどの支援も考えるべきだろう。官民の協力で医療現場を守りたい。
(2020/4/9 05:00)
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