(2020/5/1 05:00)
政府が新型コロナウイルス感染症への対応策としてまとめた緊急経済対策の財源を裏付ける2020年度補正予算が30日、参院で可決され成立した。国民1人当たり10万円の現金給付を追加するため組み替えた結果、一般会計総額が約25兆6900億円、対策の事業規模は約117兆円に達した。一方で政府は同日、全国を対象とする緊急事態宣言を、1カ月程度延長する方向で調整に入った。外出自粛や休業が長引き、景気が一段と厳しさを増しそうだ。
補正予算には住民に10万円ずつ配る「特別定額給付金」や、中小・小規模事業者の資金繰りを下支えする「持続化給付金」などの経費を計上した。政府は緊急経済対策の効果として、実質の国内総生産(GDP)を4・4%程度押し上げる力があると推計する。
今後は新型コロナの影響に苦しむ家計や企業を支えるため、予算を早期に執行し、給付金や助成金の支給を急ぐ必要がある。各府省は安倍晋三首相の指示で、給付などの手続きを迅速化するため、申請をオンラインで受け付ける準備を進めている。ITの活用で出遅れていた中小・零細企業も、こうした手順への対応が急がれる。
ただ野党や地方公共団体の中には、より踏み込んだ対策を求める声がある。都道府県知事の間では、政府が緊急事態宣言の期限を延長する場合、地方向け交付金を増額するよう望む声が多い。延長が正式に決まれば、歳出拡大への圧力がさらに強まりそうだ。
(2020/5/1 05:00)