(2020/6/8 05:00)
コロナ禍に加えて梅雨時の曇天を打ち砕く快挙だ。将棋の高校生プロ棋士、藤井聡太七段が8大タイトルのひとつ棋聖戦で、最年少でのタイトル挑戦を決めた。2016年12月のプロデビューから約3年半でのタイトル挑戦も異例の早さとなる。
学生服姿で加藤一二三九段と対局しプロのスタートを切ったがその後の活躍は言わずもがな。四段から駆け足で昇段している。一時のフィーバーは収まったものの対局時の昼食内容が注目されるなど将棋界を超えて知られる存在となった。
将棋も一昔前とは様変わりしている。以前の個人や棋士仲間が集まり、盤上で研究していた時代から現在は人工知能(AI)を活用したソフトによる研究が棋力向上に欠かせないからだ。AI研究導入に積極的とされる藤井七段だが持ち時間が少ない終盤での粘り腰などは研究の枠を超えたもの。不断の努力に磨かれた感性が重なっての躍進といえるだろう。
トーナメントではすべてタイトル保持経験者を撃破してのものだけに価値がある。東京・千駄ケ谷の将棋会館で8日開幕の五番勝負で待ち受けるのは現在三冠の渡辺明棋聖。テレワーク継続の将棋ファンは勤務中、私用端末を脇に置いてそわそわする日々が続きそう。
(2020/6/8 05:00)