(2020/10/9 05:00)
高齢者を見守る
葛尾電子工業は東日本大震災発生まで、葛尾村で電子部品の製造やシステム開発を手掛けてきた。震災後、全村避難を余儀なくされ、現在は隣接する田村市で操業を続けている。
震災直後は同社のOEM(相手先ブランド)生産は風評被害を受け、受注が激減。松本貞幸社長は「受注に左右されない自社製品が必要」と考え、高齢者世帯の安否確認ができる在宅見守りシステム「見守りライン」を開発した。松本社長が強く意識するのが高齢者の孤独死問題だ。葛尾村は震災前1400人いた人口が、現在330人まで減少したという。また、働き口を求め人口流出が続き、村の高齢者比率は高まっている。同村の商工会会長も務める松本社長は「操業を通じて、村の雇用と高齢者を守っていきたい」と話す。
同社の「見守りライン」は利用者が緊急時にコールセンターへ自動的に通知する仕組み。人感センサーによる見守りで、一定時間センサーが反応しない場合にもコールセンターへ通知する。
さらに、人感センサーを別途、複数追加することで家中どこでも利用者の緊急事態を感知できるようになる。
オプションをつけることで、携帯電話への通知も可能になる。同製品は高齢者の利用を想定し、特別な工事は不要。電話線へ接続するだけで使用でき、非常時に3日~4日間使用できるバッテリーを内蔵している。価格はあくまで利用者の見守りのみに特化することで製品1台当たり、3万6千円からに抑えた。年内には葛尾村の高齢者世帯へ30台ほどを設置し、実証を図る見通しだ。今後は住宅管理会社などを中心に売り込む考えだ。
株式会社葛尾電子工業
連載#01
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(2020/10/9 05:00)