(2020/11/4 05:00)
人権の尊重は、企業経営の根幹に関わる課題である。あらゆる企業で実践を加速させたい。 1990年代後半に、多国籍企業のグローバルサプライチェーン(部品供給網)で児童労働や強制労働などの人権問題が発生したのをきっかけに、人権に関する国家の義務や多国籍企業の責任についての議論が活発化し、「ビジネスと人権に関する指導原則」が2011年に国連人権理事会で決議された。
指導原則は人権を保護する国家の義務、人権を尊重する企業の責任などで構成される。法的拘束力はないが、企業と人権についての事実上の基準文書となっている。
指導原則は各国政府に対して、指導原則の実施に向けた国別の行動計画の策定を求めており、日本政府は10月、「『ビジネスと人権』に関する行動計画」を策定、公表した。
行動計画には、国内外のサプライチェーンにおける取り組みと指導原則に基づく「人権デューデリジェンス」の促進などを盛り込んだ。人権デューデリジェンスとは、人権への悪影響の評価、調査結果への対処、対応の追跡調査、対処方法に関する情報発信をいう。
経団連が今夏実施したアンケートでは、「指導原則に則してビジネスと人権への取り組みを進めている」と回答したのは36%で、一方「指導原則を理解しているが、活動に落とし込めていない」が33%となった。指導原則の周知や実践が進んでいないと言わざるを得ない。
企業にとって人権への配慮は当然のことで、わざわざ情報発信をする必要性を感じないというのが本音ではないか。しかし、子どもの権利保護への取り組みや女性活躍の機会が先進国中で遅れているなど、日本は世界から厳しい目を向けられていることを認識すべきだ。
また、一連の取り組みは大企業だけでなく中小企業にとっても重要であることを周知させていかなければならない。
現下の新型コロナウイルス感染拡大は世界中のいたるところで人権に影響を与えている。人権への配慮を今こそ求めたい。
(2020/11/4 05:00)
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