(2021/4/8 05:00)
英国の『パンチ』といえば、風刺漫画コーナーが「ポンチ絵」の語源になった大衆向けユーモア雑誌。大英帝国が華やかなりし頃、同誌への投稿でコラムニストとして頭角を現したのがミルンである。
戦前の日本では、そのコラムがよく英語の試験問題になったそうだ。1世紀を経てなお邦訳され、滑稽さや上品なユーモアの中に発見がある。
例えば「日記をつけるあらゆる人の心には、自分の日記がいずれ公表されたらという願望がある」(岩波文庫訳『日記の習慣』)。なるほど現代の電子日記である会員制交流サイト(SNS)は、身辺些事(さじ)を他者と共有するためのもの。そうした気分は紙の時代からあったのだろう。
「新聞が一番面白くなるのは、議会が開かれていない時だ」(同『自然科学』)というのも“作り手”側を知り尽くした書きぶり。聞き飽きた政治批判より、ヒマネタ企画の方が読者に注目されるもの。
後年、息子のクリストファー・ロビンのために著した『クマのプーさん』で不朽の名声を得たミルンだが、童話作家としての面ばかり語られるのは寂しい。読者に愛され、機知やひらめきを届けた先達のコラムは、春秋子にとってもはるかな憧れである。
(2021/4/8 05:00)
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