(2021/7/5 05:00)
新しい国際的な法人税の課税ルールをめぐり、経済協力開発機構(OECD)加盟国など130カ国・地域が大枠合意した。歴史的に意義がある合意だ。
国際法人税の「最低税率を15%以上」とし、売上高の10%を超える超過利益の20―30%を売上高に応じてマーケットを提供する市場国に配分する、工場などの拠点がなくてもサービスの利用者がいれば課税できる「デジタル課税」の導入などで合意した。
売上高200億ユーロ(約2兆6000億円)超かつ利益率10%超の多国籍企業、100社程度が対象になるとみられる。2023年の実施を目指す。
主権国家には課税自主権がある。国際機関が各国の課税自主権を尊重し調整し、ここまでこられたのは、意義深い。現在の国際課税ルールは1920年代に国際連盟が中心となってつくられたもので、工場を持つ製造業などを前提としている。実に100年ぶりの改革となる。
電子商取引(EC)の進展とともに、国境を越えて利益をあげる巨大IT企業などのいわゆる「課税逃れ」が批判されてきたが、公平に課税されて各国に配分される。
今回の大枠合意の背景には、新型コロナウイルス感染拡大の影響もある。コロナ禍で急激に冷え込んだ景気を回復させようと、各国は景気対策のために大規模な財政出動が余儀なくされ、財政が急速に悪化。新たな財源が必要となっている。これまで企業誘致をめぐって、各国間で30年におよぶ法人税率の引き下げ競争が繰り広げられてきたが、これに終止符が打たれることになる。
9、10日にイタリアのベネチアで開かれる20カ国地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で残された課題について議論。詳細な実施計画について10月に開かれるG20財務相・中央銀行総裁会議で最終合意を目指す。
今回、法人税率が12・5%のアイルランドなど9カ国の賛同が得られなかった。引き続き協議が続けられるが、10月の最終合意に向けて高いハードルは残されている。
(2021/7/5 05:00)
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