(2021/8/19 05:00)
工作機械の需要回復が鮮明になってきた。これを機に日本の工作機械メーカーに世界市場での存在感を一層高めてほしい。
日本工作機械工業会がまとめた7月の受注実績(速報値)は前年同月比93・4%増の1349億7400万円で、9カ月連続で前年を上回った。水準は2018年12月の1355億2200万円以来の高さだ。特に外需は同2・2倍の914億9600万円と好調が続いている。世界の回復基調をけん引する中国に加え、欧米などの需要回復も本格化している。
工作機械メーカーは業績見通しにも自信を強めている。DMG森精機は21年12月期の当期利益予想(国際会計基準)を110億円(前期比6・3倍)に引き上げた。期中の上方修正は5月に次ぎ2回目となる。牧野フライス製作所も22年3月期の当期利益予想(日本基準)を4月時の4倍の60億5000万円(前期は27億300万円の赤字)とした。
海外を中心に工場新増設の動きもある。DMG森精機は中国上海近郊とエジプトのカイロ空港近郊に新工場をいずれも23年に稼働予定。ドイツのゼーバッハ工場(テューリンゲン州)も22年夏までに増強する。FUJIも中国昆山の工場に新棟2棟を23年までに建設する。
特にハイエンドモデル市場では、日本とドイツのメーカーが優位に立つ。ただし自動車の電動化や半導体需要の拡大などを中心にニーズは変わる。IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)、デジタルツインなどのデジタル技術、ロボットなどの周辺技術の重要性も増している。半導体を筆頭に部品不足や原材料価格高騰へのリスクにも備えなければならない。
09年以降、世界の工作機械生産首位は中国だ。その中国が、AI研究の論文引用数では米国を抜いたという。工作機械へのデジタル技術の応用も今後は進むと見るべきだろう。工作機械はその国の製造業の水準を左右する基盤産業だ。日本の工作機械業界には、デジタル変革(DX)への対応を強化し、引き続き世界の市場をリードしてほしい。
(2021/8/19 05:00)
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