(2021/9/15 05:00)
「まるごと未来都市」を掲げるスーパーシティ型国家戦略特別区域(スーパーシティ)構想のエリア選定が大幅に遅れている。内閣府は8月に31の候補自治体全てに再提案を求めた。拙速は避けねばならないが、国と自治体のすれ違いを早急に解消してほしい。
この構想は2030年ごろの未来社会での生活を想定したもの。生活全体を対象に最先端技術の実証を一時的でなく暮らし全体に実装する狙い。全国31の自治体から提案があり、この7月末にも数カ所の区域指定がされる見通しだった。
しかし8月専門調査会で「大胆な規制改革の提案に乏しい」「未来社会のビジョンを欠く提案が多い」「本当にこれがスーパーシティなのか」といった厳しい意見が相次いだ。そこで10月15日までに再提案を求めることになった。
当然、各自治体の担当者は戸惑いを隠せない。「再提案の方向性がよく分からない」「各自治体で抱える課題が異なり、一律再提案というのは解せない」「そもそも制度の立て付けに問題があったのでは」など、意見は食い違ったままだ。しかし再提出の期限が迫る中、白紙の状態から提案書を作成するのは現実的ではない。既存の提案書をブラッシュアップする形になろうがそれですれ違いが解消できるとは限らない。
坂本哲志内閣府特命担当相は8月20日の会見で、認識の違いを認めつつ「補助金狙い的なものではなく、規制緩和を伴う大胆なスーパーシティをつくる方向で練り直してもらいたい」とし、スケジュールが来年にまでずれ込む見通を示した。
この構想は従来の特区制度を基本にしながらより迅速、柔軟に域内独自で規制特例を制定できる仕組みを目指している。移動や物流、医療・介護、エネルギー、教育、環境など、設定した10の領域のうち少なくとも5領域以上をカバーすることを求めている。
従来にない発想だけに〝ボタンの掛け違い〟はやむを得ない面もあろう。時間は限られるが、議論を尽くしてほしい。
(2021/9/15 05:00)
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