(2021/9/22 05:00)
認知症発症者は2025年には700万人を超えると言われている。これは65歳以上高齢者の5人に1人にあたる。「団塊の世代」約800万人が75歳以上となる、いわゆる2025年問題が目前に迫る中、認知症を社会全体の課題ととらえ、医療・介護だけでなく、産業界を巻き込み認知症を早期に発見する仕組みが必要だ。
認知症疾患の大半を占めるアルツハイマー型認知症に画期的な新薬が開発された。米食品医薬品局(FDA)は6月、米バイオジェンとエーザイが開発したアルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」を迅速承認した。投与によりたんぱく質の一種アミロイドβを減少させる効果があり、アルツハイマー病初期に有効とされる。
ただ、すべての人に有効とまでは言えず、薬剤費も米国では患者一人に年間約600万円と高額である。日本でも承認申請されたが承認時期は未定だ。費用対効果をどう見いだしていくか、検証を急ぎたい。
認知症は長い年月をかけて進行する。認知症の前段階である軽度認知障害を早期に発見し、早い段階から対処することが本人にとっても見守る家族にとっても有効で、産業界がビジネスとして関わる余地も大きい。
NTT西日本とパラマウントベッドが連携し、睡眠データを人工知能(AI)で分析し、認知症の予兆を検出する取り組みを始めた。パナソニックは家電操作から認知機能の低下を発見する研究を進めている。
第一生命経済研究所の調査で認知症の人の保有資産は、2030年に215兆円となると試算するデータもある。金融取引をモニタリングして認知症の疑いを検知したり、特殊詐欺から守るといった資産の管理や防衛においても企業の力をいかすことができる。京都府は「認知症にやさしい異業種連携協議会」を発足させ50社超の企業が参画するなど、地域と企業が連携する取り組みも始まっている。
医療や介護の負担を軽減するためにも、認知症の前段階や初期対応を充実させ、安心して暮らせる環境を整えたい。
(2021/9/22 05:00)
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