(2021/9/23 05:00)
ワクチン接種証明による規制緩和と感染対策の両立で、経済再生の道筋を描くべきだ。
新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の証明記録であるワクチンパスポート(接種証明書)を巡る動きが活発になってきた。政府はワクチン証明や検査による行動制限の緩和方針を打ち出した。経済界もワクチン証明による水際対策の基準緩和などの声を上げている。
米国は11月から空路で入国するすべての外国人にワクチン接種を義務づけると発表した。日本からの渡航者はこれまでは陰性証明で入国できたが、今後は接種証明が必要になる。
日本は海外渡航用のワクチンパスポートの申請受け付けを7月から各自治体で始め、ドイツやフランスなど約30の国・地域への渡航時に活用している。今後米国が加われば申請数は大幅な増加が見込まれる。迅速な交付体制を整えたい。
政府は国内においてもワクチン接種が広く行き渡る11月頃をめどに、「2回接種した証明書や検査の陰性証明があれば、これまでの行動制限を緩和していく」との方針を示した。経団連や日本商工会議所も経済活動を回復させる切り札として、接種証明の利用を求めている。
現在19都道府県に発令中の緊急事態宣言の期限は今月末。予断は許さないが、病床の逼迫(ひっぱく)が解消されれば解除される可能性が高い。
それまでに、接種証明を活用した飲食や宿泊事業者への規制緩和の方向性を示し、接種証明の本格利用に向けた準備を進めなければ、11月に間に合わない。
何の準備もなく経済活動を再開すれば、早期に感染は再拡大するという専門家の指摘もある。事業者にとっても酒類の提供はどんな条件であれば認められるのかは、今後の事業継続への手がかりとなる。
新型コロナウイルスが変異を繰り返すことを前提にすれば、ワクチン接種が進んでも当面はウィズコロナ時代が続くことは避けられない。コロナ対策と経済活動の活性化を両立させるために、接種証明の活用策を早期に固めるべきだ。
(2021/9/23 05:00)
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