(2021/10/1 05:00)
日本政府は、韓国の責任において解決を図るという原則を崩してはならない。
第2次大戦中の元女子勤労挺身隊員らの訴訟を巡り、韓国の大田地方裁判所は原告側が差し押さえた三菱重工業の資産の売却命令を決定した。三菱重工側が即時抗告することで売却は先送りされる見通しだ。しかし、この判決で日本企業に不利益が及ぶことは決して許されない。
「被害者中心主義」の立場に立つ韓国政府は、司法の独立の建前と国際法の食い違いの前に身動きができない状態に陥っている。日本政府としては引き続き、この問題を韓国の責任において解決するよう、強く求めなければならない。
韓国側の一部に、政権交代に伴う日本側の態度変化に期待するような論調があることも厳に戒めなければならない。日韓関係の基礎は、韓国側の請求権について「完全かつ最終的に解決された」と明記した日韓基本条約と付随協定に基づく。日本政府の姿勢が一貫したものであることを、韓国にきちんと伝える必要がある。
韓国側にボールがあり、かつ現在の文在寅政権が有効な政策を打ち出せない以上、打開策が議論されるのは2022年5月の韓国の新大統領就任以降になるかもしれない。同国の類似の裁判では賠償を認めない判決が出ており、国内でも意見が割れている状態だ。韓国政府がこうした国内事情を克服し、国際法に則した現実的な解決をはかることを望む。
万一、日本企業に実害が及ぶ事態となれば、日韓関係は経済問題に限らず修復不能な傷を負うことを覚悟しなければなるまい。韓国側の産業界も、率先して自国の政府に働きかけ、解決方法を探ってほしい。
北朝鮮の脅威や、中国の急速な武力拡大、周辺国・地域への圧力が顕在化する中で、東アジアの平和と安定には日韓の協調が欠かせない。日本としても可能な範囲の協力は模索すべきだ。だからといって日本企業が不当な損失を被る事態は断じて認められない。日本政府は強い姿勢で臨んでほしい。
(2021/10/1 05:00)
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