(2021/10/4 05:00)
コロナ禍で長期化した経済活動への制限を着実に緩和し、景気回復を確かなものとしたい。
日銀が1日に発表した9月の短期経済観測調査(短観)によると、大企業製造業の業況判断DIは前回調査から4ポイント改善してプラス18となった。改善は5四半期連続で、2018年12月以来の高水準を回復した。
電気機械、汎用機械が堅調を維持したほか、原材料価格の上昇を価格に転嫁できた鉄鋼、化学などの素材産業で景況感が改善した。
一方で、自動車が半導体不足やコロナ禍で東南アジアからの部品調達が困難となり、国内の減産を余儀なくされ、前回比10ポイント減のマイナス7と大幅に悪化した。
非製造業の景況感も5四半期連続で改善したが、改善幅は1ポイントと小幅だった。コロナ禍による行動制限で対個人サービスは悪化したが、運輸、建設などで改善がみられた。
21年度の設備投資計画は大企業・全産業で前年度比10・1%増と2ケタの伸び。前年の水準が低かったことの反動という側面もあるが、9月調査としては18年以来の高い伸び。脱炭素やデジタル関連を中心に企業の設備投資意欲は衰えていないことを示した。
ただ、大企業製造業が4ポイントの悪化を見込むなど先行きは決して楽観できない。けん引役の自動車の生産調整が長引く懸念がある他、エネルギーや原材料価格の高騰、中国経済の停滞、米金融政策の修正リスクなどがマインドを低下させる要因となっている。
緊急事態宣言の全面解除で企業の活動制限が段階的に緩和されれば、これまで冷え込んでいた個人消費が勢いづく可能性がある。宿泊、飲食関連も客足の増加が予想され、非製造業の回復が期待される。
きょう岸田文雄政権が発足する。景気の着実な回復には、医療体制の充実と、接種証明などを活用し再度の感染拡大時でも経済活動を維持する方策が重要になる。年内に策定する数十兆円規模の経済対策は、生活の安定と将来の成長に資する分野に重点化する視点が求められる。
(2021/10/4 05:00)
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