(2021/11/11 05:00)
第2次岸田文雄内閣が10日、発足した。政府は19日にも総額30兆円超の経済対策を取りまとめる方針。目玉である子どもがいる世帯への現金給付は、課題が多いと言わざるを得ない。国民が納得する説明が必要だ。
今回の経済対策は衆院選の与党の選挙公約を具現化するもの。自民党と公明党の政権公約を“すり合わせ”、18歳以下の子ども1人当たり年内に現金5万円、22年春にかけて5万円相当のクーポン券を支給することが決まった。自民が主張する年収960万円の所得制限を設けることも合意がなされた。
非正規雇用者や一人親世帯など、コロナ禍で生活が困窮する世帯には、一日も早く給付を実行すべきだ。児童手当の給付口座を活用してプッシュ型で支給する考え方は正しい。しかし、1回の給付で困窮問題が解決するわけではない。支援が必要な世帯には、継続的で就労確保に結びつくような施策も同時に講じるべきだ。
給付金の効果を検証することも大事だ。所得制限を設けたとしても、給付対象世帯は拡大する。経済効果がなければ、単なるバラマキになってしまい、そのツケは次世代が負わされることになる。「子どもが大切」という与党の主張に反対する人はいないだろうが、子育て支援は、保育所の拡充や高校授業料無償化、大学生への給付型の奨学金など、やるべきことはたくさんある。
マイナンバーカードの所有者にポイントを配る案も、何のために実施するのかが不明だ。カードの普及率を上げるためなら、わざわざ役所に出向かずとも行政手続きが完了するといった、カード保有のメリットを感じる活用策が重要で、目的と手段が全く合致していない。
22年夏には参院選を迎える。各党とも選挙の度に、有権者の聞こえのよい選挙公約を掲げてきた。次回選挙をバラマキ合戦にしないためにも、今回の大規模な経済対策策定の段階から、内容を徹底的に精査する必要がある。国民が望むのは、子どもの世代になっても安定した生活が送れる国づくりである。
(2021/11/11 05:00)
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