(2021/11/12 05:00)
米メタ(フェイスブックから社名変更)がインターネット上で提供を目指す3次元仮想空間「メタバース」。リモートワークが定着したウィズコロナ時代の新しいコミュニケーション手段として注目したい。
コロナ禍でテレワークが浸透し、遠隔地にいる人同士がウェブ会議システムを用いて、互いの顔を見ながら意思疎通することが当たり前となった。
メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者は、メタバースを主力事業に押し上げる戦略を掲げ、社名も変更した。
利用者は仮想現実(VR)対応のヘッド・マウント・ディスプレー(HMD)「オキュラス・クエスト2」を装着し、アバター(分身)を用いて仮想空間に入り込む。同じくアバターとなって会議などに参加した人たちと、身ぶり手ぶりを交えて会話し、画像や文字などもやりとりできる。パソコン画面上のウェブ会議より臨場感ある会話が実現するという。
「ズーム」など現状の会議システムに代わって浸透するかは未知数だが、米マイクロソフト(MS)も仮想空間市場に参入を表明したこともあり、普及拡大への期待感が高まっている。
MSはウェブ会議ツール「チームズ」を拡張し、アバターで参加できる「メッシュ・フォー・チームズ」を2022年に提供するという。MSは「ホロレンズ」と呼ぶ、複合現実(MR)対応のHMDを持っており、これを利用して、メタバースと同様の3D仮想空間「メッシュ」へのアクセスが可能となる。
先陣を切るメタバースで注目されるのは収益モデル。広告収入や暗号通貨(仮想通貨)の利用が想定される。メタは「ディエム(旧リブラ)」と呼ぶ暗号通貨の開発も進めている。
HMDの導入コストや長時間の装着が人体に及ぼす影響など、まだまだ検証が必要であるのは間違いない。
ただ、仮想空間上で商取引が本格化すればデジタル起点の新たな経済圏が生まれる可能性もある。その先には実世界と仮想空間が融合した“デジタルツイン”時代が垣間見える。
(2021/11/12 05:00)